テナント物件選びの重要チェックリスト|内見で確認すべき30のポイント
2026-04-09
「見た目が良い物件」と「事業に合う物件」は違う
テナント物件の内見に行くと、清潔感のある内装・駅近の立地・広々とした間取りに魅力を感じることがあります。しかし「見た目が良い物件」と「自分の事業に合う物件」は必ずしも一致しません。
開業後に発覚する問題——電気容量が足りない、排気ダクトが設置できない、看板を出せない——は、内見時に確認していれば防げたはずのことがほとんどです。このコラムでは、テナント物件の内見で確認すべきポイントを「建物・設備」「契約条件」「周辺環境」の3つのカテゴリに整理してお伝えします。
建物・構造のチェックポイント
床荷重 飲食店の厨房機器・業務用冷蔵庫・酒類の在庫など、重量物を置く場合は床の荷重耐性を確認します。一般的なオフィスビルの床荷重は300kg/㎡程度ですが、飲食・食品倉庫など重量物を扱う業態では500kg/㎡以上が必要なことがあります。
天井高 天井が低いと、設備設置の制約が出たり、空間の開放感が損なわれたりします。飲食店では2.5m以上、物販・ショールームでは3m以上が望ましいとされています。
柱・梁の位置 柱や梁の位置によって、テーブルレイアウト・陳列棚の配置が制約されることがあります。内見時に間取り図を持参し、実際の配置をシミュレーションしてみましょう。
ガラス面・採光 外から店内が見えるガラス面は集客上有利ですが、直射日光・外部からの視線が商品劣化・顧客プライバシーに影響することもあります。日当たりの方向も確認しましょう。
駐車場・搬入口 物販・飲食の場合、仕入れ商品の搬入動線が重要です。近くに搬入口・荷捌きスペースがあるか、駐車場は十分かを確認してください。
設備・インフラのチェックポイント
電気容量(アンペア数) 飲食店・美容室など電力消費の多い業態では、十分な電気容量(アンペア数)が必要です。不足している場合は電力会社への申請・契約変更・電気工事が必要になり、追加費用と時間がかかります。
現在の契約アンペアと、自分の業態で必要なアンペアを事前に把握しておきましょう。飲食店では一般的に50〜100A以上必要なことが多いです。
ガス種(都市ガス・プロパン) 都市ガスとプロパン(LPガス)では料金が大きく異なります。プロパンガスは月々のランニングコストが高くなるため、飲食店など使用量が多い業態では注意が必要です。都市ガスへの切り替えが可能かどうかも確認しましょう。
給排水設備 飲食店では十分な給水量・排水能力が必要です。特にグリストラップ(油脂分離槽)の設置が必要な飲食店では、排水管の位置・太さも重要です。
換気・空調 既存の換気設備で対応できるか、新たにダクト工事が必要かを確認します。飲食店では排気ダクト(臭い・煙の排気)の設置可否が業種の存否を左右することがあります。ビルの構造上、ダクト増設が不可の物件もあるため必ず確認してください。
トイレの数・位置 飲食・サービス業では客用トイレが別途必要なことがあります。既存のトイレ数・位置・清潔感も確認しましょう。
契約条件のチェックポイント
用途制限 賃貸借契約書や物件概要書に記載されている「使用目的」の制限を確認します。「事務所のみ」「飲食不可」「深夜営業不可」などの制限がある場合、自分の業態で営業できない可能性があります。
造作撤去・原状回復の範囲 退去時にどこまで元の状態に戻す必要があるかを明確にしておきます。「スケルトン戻し」が条件の物件では、内装工事で作ったものをすべて撤去する費用が発生します。退去費用が想定外に大きくなるケースがあるため、契約前に原状回復の範囲を書面で確認してください。
看板・外装の変更可否 店舗の顔である看板・外装を変更できるかどうかを確認します。ビルの管理規定によっては、看板のサイズ・位置・デザインに制約があります。認知度を高めるための看板が出せないと集客に影響します。
禁止事項 深夜営業・音楽演奏・テラス営業など、特定の営業スタイルが禁止されていないか確認します。自分の業態・コンセプトと矛盾がないかをしっかり確認してください。
転貸(サブリース)の可否 将来的に事業を縮小・変更した際に第三者に転貸したい場合、転貸が可能かどうかも確認しておきます。
周辺環境のチェックポイント
通行量と客層 物件前の通行量と、通行者の属性(年齢層・性別・時間帯)を確認します。自分のターゲット顧客が日常的に通るエリアかどうかが重要です。平日・休日・朝・昼・夕・夜で大きく変わるため、複数回の現地確認をお勧めします。
近隣の騒音・臭い 近くに工場・線路・幹線道路・飲食店がある場合、騒音・振動・臭いが問題になることがあります。デリケートな業種(高級レストラン・エステ・音楽教室など)では特に重要なチェック項目です。
駐車場の有無・台数 車で来店する顧客が多い業態(ロードサイド店舗・郊外型物販など)では、専用駐車場または近隣の駐車場の有無が集客に直結します。
競合店の状況 近隣の同業種・類似店の状況を確認します。競合の存在は「需要がある証拠」でもありますが、飽和状態のエリアでは差別化戦略が必要です。
将来の開発計画 周辺の再開発・道路拡張計画・大型施設の出退店情報は、エリアの将来性を左右します。自治体のホームページや地元不動産会社に確認しましょう。
内見時の持ち物リスト
効果的な内見のために、以下を持参することをお勧めします。
- メジャー(スペースのサイズ計測)
- 間取り図(レイアウトシミュレーション用)
- スマートフォン(写真撮影・動画記録)
- チェックリスト(このコラムのポイントを整理したもの)
- 質問事項メモ(不動産会社への確認事項)
内見は1回で終わらせようとせず、気になる物件は必ず複数回・複数の時間帯で確認することをお勧めします。
まとめ——「後で気づく」を「内見で気づく」に変える
テナント物件の選定は、開業後の事業に長期にわたって影響を与えます。「この物件で本当に自分の事業が成立するか」を、設備・契約条件・周辺環境の3つの観点から徹底的に確認することが大切です。
不明点は不動産会社や専門家に遠慮なく確認してください。千客不動産では、内見のご同行や契約条件の確認サポートも承っております。物件選びでお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。