電力自由化を活かしているテナントはまだ少ない
2016年の低圧電力自由化以来、家庭・事業者ともに電力会社の選択が自由になりましたが、「切り替えが面倒」「どこに相談すればいいか分からない」という理由で旧来の電力会社のままにしているテナントは依然として多いです。
電気代はテナント経営の固定コストの中でも大きな割合を占めることがあります。特に飲食業・冷凍食品・美容・ジム・クリニックなどは電力消費量が多く、適切な電力プランへの切り替えでコスト削減が期待できます。
1. テナント向け電力自由化の基本
契約区分の種類
ほとんどの中小テナントは低圧電力契約で、2016年以降の自由化対象です。
自由化のメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 電気代の削減(数%〜20%程度) | 新電力会社の倒産リスク(市場変動に敏感) |
| 再生可能エネルギー対応プランの選択肢 | 切り替え手続きの手間 |
| 多様な料金プラン(時間帯別・固定等) | 供給安定性の一部低下懸念(実際は問題少) |
2. 新電力会社の比較ポイント
比較すべき項目
- 基本料金(基本料金/kW・月):契約電力に応じた固定費部分。
- 電力量料金(円/kWh):使用量に応じた変動費部分。
- 燃料費調整額の扱い:市場価格連動型か上限ありかを確認。
- 契約期間・違約金:長期契約に違約金が設定されているか。
- 再エネ対応:グリーン電力・再エネ100%プランの有無。
- 会社の安定性:設立年・財務基盤(中小新電力は倒産リスクあり)。
主な新電力会社の例(2026年現在)
| 会社名 | 特徴 | 向いている業種 |
|---|---|---|
| エネオスでんき | 石油元売り系・安定性高い | 全業種 |
| auでんき | 通信連携・ポイント付与 | 個人事業主・小規模 |
| 楽天でんき | 楽天経済圏連携 | 楽天ビジネス利用者 |
| 出光でんき | 石油系・法人向け | 中規模テナント |
| CDエナジー | 東京ガス系・都市ガスとセット | 飲食・ガス大量使用者 |
※2026年の市場環境により、各社のプラン・料金は変動しています。必ず最新の見積もりを取得してください。
3. 切り替えのメリット試算
電気代削減効果の計算
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現在の月額電気代:20万円(低圧・飲食業)
新電力切り替え後の削減率:8%
月間削減額:20万円 × 8% = 16,000円/月
年間削減額:192,000円/年
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削減率は電力量料金・基本料金の差によって変わります。特に使用量が多い業態(飲食・冷凍・美容・ジム)では削減効果が大きくなります。
4. 切り替え手順
ステップ1:現在の契約情報の確認
電力会社からの請求書または「電力需給契約書」で以下を確認します。
- 契約電力(kW)
- 月間使用電力量(kWh)
- 現在の基本料金・電力量料金の単価
ステップ2:複数社への見積もり依頼
- 新電力の一括比較サービス(エネチェンジ・エネルギー比較ナビ等)を活用。
- 3〜5社に見積もりを依頼し、年間コストで比較。
ステップ3:切り替え申し込み
- 選定した新電力会社に切り替え申し込み。
- 現在の電力会社への解約通知は新電力が代行することが多い。
ステップ4:切り替え完了(スマートメーター交換)
- スマートメーターへの交換が必要な場合は工事担当者が訪問(無料)。
- 切り替え完了まで1〜2ヶ月かかるのが一般的。
5. 注意点・リスク管理
- 燃料費調整額の上限なし契約:市場価格が高騰した2022〜2023年に大幅値上がりした新電力プランがありました。上限ありのプランまたは固定料金型を選ぶことでリスクを抑えられます。
- 新電力の倒産リスク:新電力が倒産しても、一定期間は旧電力(地域の一般電気事業者)が供給を継続するため、突然電気が止まることはありません。ただし手続きの手間が発生します。
- 建物の共用電力との分離:テナントビルの場合、建物全体の電力契約と個別テナントの契約が分かれているか確認が必要です。
電力コストは「一度見直せば長期間効果が続く」節約項目です。年に一度は契約プランの見直しを習慣化し、経営コストの最適化に役立ててください。
