セットアップオフィスとは何か
「セットアップオフィス」とは、内装工事・間仕切り・照明・OAフロアなどが整備済みの状態で提供されるオフィスのことです。テナントは什器(デスク・チェア)と通信回線を持ち込むだけで、すぐに業務を開始できます。
従来の「スケルトン渡し」(何もない状態)と比べ、内装工事コストと工期が大幅に削減できるため、急成長するスタートアップや急な増員が必要な企業に人気が高まっています。本記事では、セットアップオフィスとフルフレキシブルオフィスの違い、選び方のポイントを解説します。
セットアップオフィス vs フルフレキシブルオフィス
セットアップオフィス(内装付きオフィス)
セットアップオフィスは一般的なテナント契約(賃貸借契約)を締結し、内装が付いた状態で貸し出される物件です。契約期間は2〜5年程度が標準で、敷金・礼金も通常のテナントと同様に発生します。
家具(デスク・チェア・会議テーブル)が含まれる物件もあれば、内装のみで家具は借主が用意する物件もあります。どこまで「セットアップ済み」なのかは物件により異なるため、内覧時の詳細確認が重要です。
フルフレキシブルオフィス(WeWork型・サービスオフィス)
フルフレキシブルオフィスは、月単位・週単位で利用できる柔軟な契約形態が特徴です。WeWork、Regus、H¹Oなどの運営会社が、内装・家具・Wi-Fi・会議室・受付サービスなどをパッケージで提供します。
短期契約でいつでも退去できるため、急な事業縮小にも対応可能です。ただし、坪単価で比較すると一般賃貸より割高になることが多く、長期利用には向かない場合があります。
費用相場の比較
セットアップオフィスの費用
2026年現在、東京都心(渋谷・新宿・品川エリア)のセットアップオフィスの賃料相場は、坪単価25,000〜45,000円程度です。スケルトン物件より賃料は10〜20%高めに設定されますが、内装工事費(坪単価20,000〜60,000円程度)を節約できるため、トータルコストは低くなるケースが多いです。
初期費用は敷金3〜6ヶ月分+礼金0〜2ヶ月分+仲介手数料が一般的です。内装工事費が不要なため、50坪規模の物件では初期費用を1,000〜2,500万円削減できることがあります。
フルフレキシブルオフィスの費用
月額費用は、1人あたり月60,000〜180,000円(個室プランの場合)が都内の相場です。100名規模の専有フロアでは月400〜900万円程度になることもあります。
短期利用(6ヶ月以下)や急拡大フェーズでは有効ですが、50名以上・1年以上の利用ではセットアップオフィスや通常賃貸の方がコスト効率が高くなることがほとんどです。
契約上の注意点
原状回復義務の確認
セットアップオフィスでは、退去時の原状回復義務が問題になることがあります。「現状の内装のまま返却」か「スケルトン状態に戻す」かを契約書で明確に確認してください。
内装を施工したのがオーナーか前テナントかによっても扱いが変わります。前テナントの内装を引き継いだ「居抜き物件」の場合、退去時に「内装撤去してスケルトンに戻す義務」が発生し、退去コストが想定外に膨らむリスクがあります。
什器・設備の所有権
内装に組み込まれた什器・設備がオーナー所有か前テナントのものかも確認が必要です。オーナー所有の場合、毀損時にテナントが修繕費を負担するリスクがあります。
追加工事の制限
セットアップオフィスでは、既存内装への追加工事(間仕切り変更・電気工事・サーバールーム設置など)に制限が設けられることがあります。事業成長に伴うカスタマイズ需要を見越し、契約段階で「追加工事可能か」を確認しましょう。
企業フェーズ別の選び方
創業〜30名規模(スタートアップ初期)
フルフレキシブルオフィスが最適です。急な増員・縮小に対応でき、固定費を最小化しながら事業検証ができます。
30〜100名規模(成長期)
セットアップオフィスへの移行タイミングです。チームが大きくなると専有空間での連帯感・集中環境が重要になり、フレキシブルオフィスの月額コストも高くなります。セットアップオフィスなら初期費用を抑えながら専有空間を確保できます。
100名超(安定期)
スケルトン物件で自社仕様の内装工事を行い、ブランドイメージを体現したオフィスを実現できます。長期安定運営を前提にすれば、坪単価でも最も低コストになります。
テナント仲介業者はオフィス市場の最新情報を持ち、セットアップオフィスの新規供給・空き情報もいち早く把握しています。事業フェーズに合ったオフィス戦略の相談は、専門の仲介業者に早めに声をかけることをお勧めします。
