造作譲渡料とは?相場・算定根拠・交渉のポイント

造作譲渡料(ぞうさくじょうとりょう)とは、 居抜き物件で前テナントから内装・設備・什器を引き継ぐ際に支払う費用のことです。 ポイントは、これが前テナント(旧借主)に支払うテナント間の金銭であり、 賃料・敷金のように貸主(大家)へ支払うものではないという点です。 業種・坪数・設備の充実度・経過年数で金額は大きく変動するため、 内訳書(譲渡対象一覧と評価額)の提示を求めて妥当性を必ず確認しましょう。
相場感(目安)
造作譲渡料には公的な定価や相場表は存在せず、譲り受ける設備の内容・規模・状態で大きく変わります。 おおまかな目安としては、設備が少ない小規模店舗で数十万円程度、 厨房や空調・内装が一式そろう飲食店・サロンでは数百万円規模になるケースが多く、 高額な専門設備をそろえた大型店舗ではさらに上振れすることもあります。
※ 上記はあくまで一般的な目安です。実際の金額は前テナントの設備投資額・経過年数・立地・ 業態適合性で大きく変動するため、必ず内訳書をもとに個別に判断してください。
譲渡対象の範囲を明確にする
トラブルを防ぐうえで最も重要なのが、何を譲り受け、何を譲り受けないのかの線引きです。 造作譲渡契約書には、対象となる設備・什器の一覧と、各品目の所有権が新借主へ移るのか、 それとも貸主の所有物(賃貸借契約上のオーナー設備)なのかを明記してもらいましょう。
- 譲渡対象: 厨房機器・空調・内装造作・照明・什器・看板など、品目ごとに一覧化されているか
- 残置物の扱い: 引き取らない物(不要な什器・私物)の撤去・処分は誰の負担か
- 所有権: リース物件やオーナー設備が「譲渡対象」に紛れ込んでいないか
- 原状: 故障・老朽化した設備が現状有姿で引き渡される前提になっていないか
算定根拠の確認ポイント
- 内訳書の提示(設備・什器の購入時価格と経過年数)
- 減価償却後の残存価値(時価)として妥当か
- 動作不良・老朽化している設備が高く計上されていないか
- 自店舗で流用できない設備が含まれていないか
- 消費税の扱い(税込/税抜)の確認
金額の妥当性は「新品価格そのまま」ではなく、経過年数に応じて目減りした時価(残存価値)で見るのが基本です。 たとえば耐用年数のおおむね半分を経過した設備であれば、新品価格をそのまま請求されるのは割高と考えられます。 こうした考え方を念頭に、内訳書の各品目を一つずつ確認しましょう(具体的な評価額は設備ごとに異なるため、 ここでの数値はあくまで考え方の例です)。
消費税の扱い
造作譲渡は、賃貸借契約とは別の「資産の売買契約」です。 前テナントが課税事業者であれば、設備・内装の譲渡は消費税の課税対象となります。 契約書に記載された金額が税込みか税抜きかを必ず確認し、 自店舗側で仕入税額控除を行う場合はインボイス(適格請求書)の発行可否もあわせて確認しておくと安心です。
譲り受けた設備の保証・故障リスク
造作譲渡で引き継ぐ設備は、原則として現状有姿(あるがままの状態)での引き渡しであり、 メーカー保証や前テナントによるアフターサービスは付かないのが通常です。 引渡し直後に厨房機器や空調が故障し、入替え費用が別途発生するケースも少なくありません。 可能であれば内見時に電気・ガス・水道を通して主要設備を実際に動かし、 年式や修理履歴も確認したうえで、故障リスクを織り込んで金額を判断しましょう。
退去時の原状回復(撤去義務)
事業用テナントでは、退去時の原状回復(スケルトン返し)は借主負担が原則です。 居抜きで設備を引き継いだ場合、前テナントが本来負うはずだった撤去・原状回復の義務を、 設備とあわせて新借主が引き継ぐのが一般的です。 つまり、自分が将来退去する際には、引き継いだ設備の撤去費用まで負担し得るということです。 賃貸借契約書の原状回復条項(スケルトン返しか居抜き退去が認められるか)を契約前に必ず確認してください。
交渉のコツ
前テナントが早期撤退・閉店を急いでいる場合は、値引きの余地が大きくなる傾向があります。 また、特定の設備が自店舗で不要な場合は「引き取らない条件」で減額を打診しましょう。 営業(事業)そのものの譲渡と異なり、造作譲渡は設備・内装の売買が中心で、 いわゆる「のれん代」は原則として対象外です。 ただし、契約によっては顧客や営業権を含めた取引として扱われることもあるため、 何に対する対価なのかを契約書で明確にしておきましょう。