なぜ業種別チェックリストが必要か
テナント物件の内見チェックリストは汎用的なものが多く、「美容室・エステサロン」や「飲食店」に特有の確認ポイントが抜けてしまうことがあります。
たとえば美容室では「シャンプー台の給排水工事が可能か」「排水管の位置と勾配」が重大事項ですが、汎用チェックリストではここまで深掘りされません。飲食店では「グリストラップの設置スペース」「ガスの種類(都市ガス/プロパン)」「排気ダクトの屋上経路」が業態の成否を左右します。
本稿では、サロン系業種と飲食店に分けて、物件選定・内見から契約までの業種別チェックリストを提供します。
サロン(美容室・エステ・ネイル等)のチェックリスト
A. 設備・インフラ確認
給排水系統(最重要)
- [ ] シャンプー台設置予定位置の床下に排水管があるか
- [ ] 排水管の太さは75mm以上あるか(シャンプー排水対応)
- [ ] 給水管は15mm以上(複数シャンプー台を使用する場合は20mm以上)
- [ ] 給湯器の設置場所・容量は十分か(連続給湯能力が重要)
- [ ] 洗髪用温水の安定供給が可能か(ガス・電気給湯器の種別確認)
電気容量
- [ ] 分電盤のアンペア数は60A以上あるか(大型ドライヤー・オートクレーブ対応)
- [ ] エアコン(業務用)の回路が独立しているか
- [ ] 美容機器用コンセント(200V/単相)が必要な場合、対応可能か
換気・空調
- [ ] 薬剤(パーマ液・カラー剤)の臭いを排気する換気設備があるか
- [ ] 換気扇の排気経路が近隣(窓・隣接店舗)に直接向いていないか
B. 構造・内装確認
- [ ] 施術スペースの天井高は2.3m以上あるか(コンフォートな空間確保)
- [ ] シャンプー台の重量に耐える床荷重があるか(特に2階以上)
- [ ] 壁・床材変更に制限がないか(ビル管理規約確認)
- [ ] トイレは顧客用・スタッフ用を別に確保できるか
C. 法規・許認可確認
- [ ] 理容師法・美容師法上の「作業場」の構造要件を満たすか(都道府県ごとに異なる)
- [ ] 理容所・美容所の届出に必要な床面積・設備が確保できるか
- [ ] 美容所の届出は保健所(衛生担当)への届出が開業の前提(管轄保健所に事前相談済みか)
- [ ] 医療行為とみなされる施術(医療脱毛・注射等)は医療機関の届出が必要(エステは要注意)
全国各地のサロン情報はcosta-hair(美容・サロン情報)でも掲載されており、出店エリアの競合状況の参考になります。
D. 契約条件確認
- [ ] シャンプー台設置のための「床貫通工事」がオーナーに許可されているか
- [ ] 内装変更(壁・床材の変更)の範囲がどこまで許可されているか
- [ ] 退去時の原状回復範囲(シャンプー台撤去・床修復の負担者)が契約書に明記されているか
飲食店のチェックリスト
A. 設備・インフラ確認
ガス・電気(最重要)
- [ ] 都市ガスかプロパンガスか(プロパンは単価が高いが変更困難)
- [ ] ガス配管の太さ・圧力は厨房設備の総消費量に対応しているか
- [ ] 電気の契約電力(kW)は十分か(業務用エアコン+厨房機器の合計)
- [ ] 三相200V電源が必要な機器(大型冷凍機・食洗機等)の回路は確保できるか
給排水
- [ ] グリストラップ(グリースインターセプター)の設置スペースがあるか
- [ ] 排水管径・勾配は飲食店の排水量に対応しているか
- [ ] 水道メーターの容量は足りているか(大流量使用の業態は要確認)
排気ダクト
- [ ] 屋上まで排気ダクトを通せる経路があるか
- [ ] 既存の排気ダクト経路を利用できるか(前テナントが飲食の場合)
- [ ] 隣接テナント・住居への排気方向問題はないか(匂いのクレームリスク)
B. 構造確認
- [ ] 厨房スペースに十分な面積があるか(厨房とホールの比率:業態による差異)
- [ ] 床材は飲食店向けの耐水・耐油仕様か(または変更が許可されているか)
- [ ] 冷蔵庫・厨房機器の搬入経路(廊下幅・エレベーター耐荷重)は確保できるか
- [ ] 食材搬入口(バックヤード)または搬入用エレベーターはあるか
C. 保健所・消防確認
- [ ] 飲食店営業許可の構造要件(手洗い専用設備・2槽シンク等)を満たすか
- [ ] 消防署への防火対象物使用開始届の提出義務(着工7日前)を確認済みか
- [ ] 消火設備(消火器・スプリンクラー等)の設置状況と必要設備の追加コストを確認したか
- [ ] 客席定員が30名以上の場合、防火管理者選任届が必要(選任予定者はいるか)
全国の飲食スポット・グルメ情報はsorou(全国スポット情報)でも掲載されており、競合エリアの業態リサーチに活用できます。
D. 契約条件確認
- [ ] 「B工事」(ビルオーナー指定業者施工)の範囲と概算費用を確認したか
- [ ] スケルトン返し(退去時に内装を全撤去する義務)か現況渡し返還かを確認したか
- [ ] 調理油煙・匂いに関するビル管理規約・入居テナントの同意状況を確認したか
- [ ] 深夜営業(酒類提供)を行う場合、用途地域・建物管理規約上の制限はないか
まとめ:業種別の「絶対確認事項」を先に把握する
サロンも飲食店も、「後から気づいた設備不足」が開業コストを数百万円単位で押し上げます。特に給排水・排気ダクト・電気容量はテナント側で改修困難または高コストなため、内見前に施工業者を同行して確認することを強く推奨します。
業種別の物件選定から許認可取得まで、テナント開業の一貫サポートは千客テナント(senkyaku.co.jp)にお任せください。
